益喜を語る

伊藤誠 南風対談 わが青春の日々 森田修一
廣田生馬 和田青篁 父を想う

閑話休題。…。

増田さんからは、同時にその折り、小磯さん自身の次の一文のあることも、教わった。

小磯良平『私のモデル・竹中郁』(朝日新聞昭和28年3月21日所載)である。残された新聞スクラップを読むと、私が直接うかがった話とは少し異なるところもあって、それがまた興味をそそる。

…戦争前、鉛筆で彼を描きかけたデッサンが、戦災を受けたのにうまく助かって残っていた。何か客でも来て途中で止したのか、からだだけ出来ていて顔がないものだった。10ママ数年たったある日、竹中君が来たので、このデッサンに再び首を描き加えることにした。私の画生活ではこんなことはめったにないことだ。10数年前の竹中君はよく肥っていた。デッサンにもそれが描いてあったから、最近のやせている顔をつなぐのは少しおかしいことになる。しかし描きあげると、ぴっちりと寸法が合って出来上がった。二人でおもしろい記念だといいあったものだ。…。