北野町の古き家
油絵・F50号(118×91)/ 制作=1961年
<<解説>>
中国旅行から帰った頃の絵だ。
切妻屋根の三角や、くずれかかった家々、はずれかかった板などがおもしろく、“リアリズム”(!)で書いたものである。
中国旅行の途中から、ディティール(細部)をきっちり描いた上に詩情を出すことを追求しだした。これもその系統の一つだが、結果はどうであろうか。
北野町にはアパート・ブームが始まり、異人館も土地も売りはらった人々はやや態度が変り、この家のようにどちらかというと細々と暮らす人々と疎遠になってしまった。
異人館がなくなったこと共々、残念な思いがした。