作品紹介

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白系ロシア人の家

白系ロシア人の家
油絵・P6号(27×41・)/制作=1935年

油彩1
英三番館 オリバー・エヴァンス商会
ガス灯のある風景 元居留地・浪花町風景
江戸町懐古 古い門・古い家
山本通り風景(グリーンのよろい窓) 山本通り3丁目風景
両替店 白系ロシア人の家
<<解説>>

小さな作品だが、私の非常に好きな絵である。白い壁、鎧窓、濃いグリーンのヘイ、それに枯れた木のとりあわせがおもしろく、画興をそそられた。

マチエールは厚ぬり。白いしっくいの感じをだそうと、いろいろと工夫し情緒が出たと思う。庭木のさざんかの濃い緑と枯木になった梨のような木の調和が、また何とも言えない、と感じたのだった。

ここには一つの思い出がある。

住んでいた白系ロシア人が帰国することになり、絵を所望した。「いくらか」というので「号200YENだ」と言うと、一号につきということがわからず、200円だけ手に握って来たので、さし上げることをしなかった。

今思うと、デッサンの一枚でもあげればよかった、と悔いが残る。亡命してきた白系ロシア人だが、「ソ連に帰国の許可が出て……」と実にうれしそうに微笑んでいたのが忘れられない。

山本通りと北野町との間の小さな路地にあるこの家には 今はたしかインド人一家が住んでいるはずである。