作品紹介

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両替店

両替店
油絵・P30号(91×65・)/制作=1940年

油彩1
英三番館 オリバー・エヴァンス商会
ガス灯のある風景 元居留地・浪花町風景
江戸町懐古 古い門・古い家
山本通り風景(グリーンのよろい窓) 山本通り3丁目風景
両替店 白系ロシア人の家
<<解説>>

戦前は金の流通が自由で、個人が経営する両替店が、神戸に2・3軒あった。たしか海外に出かける時など、個人で自由に交換出来たはずだ。フランスに行く友人と店に入ったら、両替したきれいなお札を出してくれた第三国人の手が、白くふっくらしていたのが印象的だった。

店の外には、中国文字と英語ドイツ語など、いろんな国の文字がいっぱいなので、それがおもしろくて絵にかきだした。かいてみてはじめて、中国人の文字のうまいのに驚かされた。看板だけでなく、中で計算するにも、アラビア数字まで筆でかく……。

やがて不景気がやってきて両替店も消えてしまい、あの中国人もいなくなってしまった。それだけでなく、街がこんなに変わるかと驚かされた時期だった。

絵のマチエールがあっさりとしているのは、制作をいそがされたためである。

グレーズに、いつもと違ってブルーをつかったのは、港の汽船の煙のためかもしれない。そのころは石炭船で、煙はメリケン波止場から風にのってただよって来ていたから。