<<解説>>
好きな絵の一つである。
構図も落ちついていて、濃い緑のヘイと白いヘイのコントラストがおもしろい。また、家々からいろいろのチムニーが出ているのも興味をひいた。
緑のヘイの門柱の右側の三角屋根は玄関である。玄関の屋根を赤くぬるのは、この頃の異人館の通例であった。
何回もこの近辺を描いていて、すっかり住人のベアさんと親しくなったものだ。絵を預かって下さったり、午後のお茶にもよばれた事であった。この頃は、塀や窓の色は、近所と相談しながら塗ったのではないかと想像される。住んでいる人が、となりの鎧窓や壁板の色見本をみながら話しこんでいるのを、私のこの目で見、話にも聞いたから。
今になって思うと実によき時代であった。