<<解説>>
道に苦労した絵である。
道は家ののっかる土台であるし、人が通っても車が通ってもビクともしないあの重厚感を出したい、と苦労している頃の絵だ。結果として先輩に“ビシッとおさまっている”とほめられたのだった。
ホテルの“さつま荘”は、久徳という九州出身のオヤジさんが買った家だ。旅行の世話をなさっていた氏は、ブラジルへもよく行き、移民の功労者となられた。
異人館にはときどき、表側をこうした倉のような壁ぬりにしたのがあった。これも一風変わっていて、裏は木造の、黄色とライトレッドの柱や鎧窓のついたガッチリした家である。
絵は一気に描き上げたものだが、独特の情感が出ていると思う。