6.山本通り小径(戦災焼失)
ここは、現在NHK神戸支局の西側、萬寿殿の西隣りの、幅一メートル半足らずの小径だった。
山手大通りからかなりきつい坂道を北に登ると、約三十メートルでこの小径となる。もちろん戦前の風景である。
向かって右側は白く塗られた塀、黄土灰色の家の壁、窓は黄緑色に透明なガラスの黄緑色とそのわくの黄土色、そして花崗岩の門柱が古びて黒味がかった黄土色で、これらのすべてが調和してとても美しかった。門柱の向こうが赤煉瓦の塀、これもおそらく塗られてあった白いセメントが剥げ落ちたものであろう。これがまた錆びた赤茶色で、煙突の先の、赤や黄色の素焼きの煙道と映えて見事だった。
その奥の数十軒の異人館が山本通りと北野町である。遠くにある煉瓦の煙突色などは忘れられない。ここから見た山の形もとても美しかった。
先日ここに行って見たが、建物が大きく高くなって、山は全然見えなかった。