神戸異人館今昔

21.オバライン氏邸の裏側(現存)

オバライン氏邸の裏側

このオバライン氏邸の裏からの構造は、とても複雑で面白い。火道管の四つついた煙突が二本あり、これはうしろの煙突である。

この右の出窓の右側には二十四・五メートルの陽だまりの部屋があり、下は土間になっていて、庭木は榎(えのき)の大木を始めとして楓(かえで)、樫(かし)、八つ手、リラ、夾竹桃、無花果(いちじく)、棕櫚(しゅろ)、蘇鉄などいろいろと植えてあった。

いま、榎などは二抱えもあるような大木となっている。リラは枯れてしまった。主人がなくなられて、庭はまったく荒れ果てた感じが塀ごしに見られてさびしい。

この建物もやがて業者に買いとられて、味気ないアパートに立て変えられるだろう。ほんとにやりきれない気持ちだ。

ここ二十年と経たないうちに、このような木造の異人館は四、五軒を残すだけになるだろうと想像される。手入れさえすれば百年は保つだろうに。