神戸異人館今昔

28.白い鎧窓のある家(現存)

白い鎧窓のある家

この建物は北野町二丁目八番地にあり、あまりひどくは変わっていない。こじんまりとしたかわいい建物である。

道路から階段を十段くらい上がると、冠木門(かぶきもん)が家にたいして真横向きにあり、門を入ると藤棚がある。崖縁(がけっぷち)を段々に拓いて建ているので、庭もあまり広くはとれないようだが、なかなかじょうずに階段を作り、狭い空間をうまく利用して構成を複雑にしている。

かっちりとした日本風の冠木門を右に折れて玄関に出る。ここはすっかり作り変えられており、一階の窓も変わってしまって惜しいが、なにしろ崖上なので表からはあまり邪魔していない。右庭には一本の花梨が植わっていて、その枝ぶりがとてもおもしろくて画にした。コンクリート塗りの崖が丸くふくらみをしているのはいささか気懸りだが、なにしろ地盤がしっかりとしているので少しも狂っていない。