神戸異人館今昔

30.小林秀雄氏邸

小林秀雄氏邸

これは北野町の前回の風見鶏の家の東方五十メートルくらいの道の反対側にある。英国人ドリユウエル夫人の設計になるものである。

普通の異人館は蔀(しとみ)板が重ねて作られて、別に裏から板が当てられてあり、模様がおもしろい調子になって、女性の作らしくデリケートだ。地上には横に敷石が敷かれて、五十センチは縦に板がつけられてあり、建物にかかった雨水が早く流れ落ちるようになっている。ペンキも時どき同じ白色に塗り替えられてすばらしい。

この建物の左側には非常階段がつけられてあり、表に出られるようになっている。出口の小さな階段の踊り場がなかなかよい感じに作られてあり、絵になる風景だ。

北側、即ち向かって左側には、当主小林秀雄氏の好みで建物とぴったりと合ったガレージがうまく作られていて、よく立派に保存されていて美しい。