神戸異人館今昔

23.弟オバ・ライン氏邸(現存)

弟オバ・ライン氏邸

この建物は、おそらくスタデニック氏邸の設計者と同一人ではないかと思われる。それは建物の組立構成がはとんど同じであるということだ。

大きな構成でいえば、玄関のところがガラス窓で出窓の形式をとり、ただ玄関が左右反対になっているだけで、あとはほとんど同じである。手摺りがおもやの方にまで連らなっている点も共通である。

ちがっている点は、スタデニック氏邸は一方が板張り鎧窓だが、こちらは光が採れるよう左右ともにガラス張りであることだ。

この家もスタデニック氏邸も庭が広くて実に家庭的である。異人さんの庭には時どきおや、と思うような珍しい樹のあることもたのしい。

この家のガレージはとても変わっていて、入口に月桂樹で囲んで「M」という字がある。その浮彫にされてあるのは、昔の人が建物にたいして愛情をもちかわいがっている姿が目に見えるようで、いかにもほほえましい風景である。