26.北野三丁目小径(現存)

この小径は、この道と直角のきつい坂道の気休めとなるような小径である。この坂道は神戸の一つの特徴ともいえるところだが、息を切らせながらこの坂道を登っていくと、東西に走った平らな小径に出る。
ここで一休みすることになるところである。一番奥にゴシック風の三角形のきつい角度の家が二軒見える。この左手の矩形の家の後ろには、古風な煙突と三角帽の家が重なって見える。ここはゴシック風の建物の群落とでもいいたくなるところだ。
ここにはまた、いろいろの樹が植えられてある。一番手前がリラの樹だ。その向こうがはこねうつぎ、その右下がツゲの木、道路の右手には暗緑色の樫の木、その奥が松、その下には赤樫の木がある。
そして、その真下に蘇芳(すおう)の木だ。こうした樹々が建物とマッチしていて、まことにたのしい。