神戸異人館今昔

10.スタデニック氏邸(現存)

スタデニック氏邸

中山手一丁目角、西村コーヒー店角を右に曲って、山の方へと登り道を上がり、東西に走る山本通りを越え、右手に中山手教会を見ながらさらに登ると、上の山本通り、すなわち北野町との町境の大通りに出る。ここで左折して二軒目に三番館と名を打った広い門がある。ここを入ると右側に白い新しい建物があって、左に大きなアカシアの大木間に新しく設けられた門があり、その門の中にこのスタデニック氏邸がある。注意してないとよく見落とされる。

この家は、柱や軒下はライトレットに塗られ、鎧窓はエメラルドグリーン、板壁はあたたかいブリリヤンイエローのパステル調の色で、あたたかな雰囲気に包まれていた。

今は焦茶とダークグリーンで、壁板はネープスルイエローに塗られて、親切な老女中さん(一般にはアマサンと呼んでいた)と暖かな色の組合せがぴったりしていたころの面影はない。その女中さんが養老院に入ると、まもなく柱や壁が塗りかえられて、今の冷たい色の組合わせになった。

昔の色を見たいと思う人は、表から印度人の家と隣りの門と塀の間をのぞけばよい。