<<解説>>
もうこれが異人館の最後だろうという思いで描いた。
自分としても、ある傾向の描写の、一つの終点だと思ってかいたものである。100号であるが3年間をかけて細い筆まで使って、こつこつと描いたものである。
家々の重りもかきたかったしよごれたレンガべい、雨にさらされ、手あかのついたドア、なども描きたかった。私はこうした使い古した人の歴史のあるものが好きである。
家はすでにかなりいたんでおり、バルコニーのドアなど絶対に開かなかった。
絵は3年間、こつこつと描いた。70年頃の明るい情熱が消え、また重厚にかきこもうとしたが、最後にはいきづまりを感じた苦しい絵である。
そしてこれからは又、詩情へともどっていかなければならないと思っている。