<<解説>>
北野町から見た、わりあい新しい絵である。
全体を影にして中央の家に光を当てる構成をとり、さみしい路と、毅然とした異人館の印象を描いた。
交通標識をかいたのは、ここにコバルト・ブルーがほしかったからである。画面左下の塀と、門兆鴻氏宅の窓のエメラルド・グリーンの色にも、心をひかられたことだった。
構図として、まがった露路の向うの通りをかくのは、僕としてはめずらしいことである。露路右手の盧観源氏宅にも、絵をあずかっていただいた。40年間神戸の山の手を描き続け、画面にはかけなかった多くの方々に、お世話になり親しくなり、僕はずいぶん幸せな奴だ。