16.山本通り上の通り（一部現存、大半焼失）

これは、トアロードの一番上を横切っている広い通りを右に曲って、約百メートル行ったところで、右側は山本通り、左側は北野町である。現在はアパート、しかも、五階建、六階建がぼつりぼつり歯が抜けたようにそびえて、詩情も情緒もあったものではない。

現在この風景で残っているものは、右から四軒日のシュエケ氏邸で、次の二棟が門兆鴻氏邸、次の小さく見えている家は、おもしろいイタリー人が住んでいたが、現在は印度人の住宅となっている。その西隣りの白い煙突のある家が王氏邸で、中国人の居宅である。

それから向こうは一軒残らず戦災でやられてしまい、跡かたもなくなった。